【耐震について】第2章 住まいの耐震性のポイント
まず、このお話をする前に、地震の事について触れておきたいと思います。
地震の揺れは最初ガタガタとした縦揺れから始まり、やがてユサユサとした横揺れに変ります。これは、P波と呼ばれる縦波がS波と呼ばれる横波よりも地面の下を早く伝わるためです。一般に、横揺れの方が縦揺れよりも揺れの振幅が大きいため、地震災害のほとんどが、後からやってくる横揺れによりもたらされます。
直下型地震の被害が大きいので、縦揺れの方が大きいのではと思われがちですが、実は、『横揺れの方がはるかに大きい』のです。
つまり、耐震性の高い建物とは、「横揺れ=横からかかる力にどの程度耐えられるか」という事がポイントであることが分かります。
では、横からかかる力に抵抗する手段についてお話しましょう。横からかかる力に抵抗する最も重要なものが『壁』なのです。
つまり、耐震基準を満たすだけの『壁』が十分にあるかどうかが第一のポイントです。
ただし、筋交いで強くなった壁も、金物などできちんと接合されていなければ、その力を十分発揮する事は出来ません。
すなわち、住まいの耐震性のポイントは
① 筋交いなどで強化された『壁』が必要なだけあるか
② 『壁』の接合部が金物などできちんと接合されているか
が重要なポイントになってくるのです。
そして、先程建築基準法のところで、平成十二年に改正されたポイントで書きましたが、
③『壁』がバランスよく配置されているか
も、大きなポイントとなのです。
いくら耐震壁がたくさん配置されていても、バランスの良い配置がなされていないと、地震への抵抗力を発揮する事ができません。
上の図のように、東西方向それぞれにバランスよく壁が配置されていないと、図のように一方向の力で倒れやすくなったり、建物がねじれやすくなったりするのです。
平成十二年以前の建物の場合、水廻りの北側には壁を多く配置し、南側の和室の続き間を配置している建物の場合、南側に耐力壁が少ない、非常にバランスの悪い建物がたくさん建てられています。
つまり、平成十二年以前の建物は基準があいまいだったため、壁の量は十分にあっても、接合部に金物が使われていなかったり、北側ばかりに偏って壁が配置されている、と言うような問題が起こっている可能性があるのです。
さて、皆さんのお住まいはいかがでしょうか?
そこで、次の章で具体的に危険性をチェックする方法をお話しましょう。